『リネンの最高級品アイリッシュリネン』Irish linen in England - 日本農業再生   日本農業再生   -->
|ホーム |「すばる会員」申し込み |カテゴリ一覧 |メルマガ登録 |

『リネンの最高級品アイリッシュリネン』Irish linen in England


 

 

フェイスブックの市川昭子(久米)海外ガイドブックさんからシェア

『リネンの最高級品アイリッシュリネン』Irish linen in England

 

1475945_592320004151032_354745768_n.jpg アイリッシュリネン


人類が作った最初の繊維がリネンということですが、リネンの起源は紀元前5000~6000年頃のエジプトとされています。

その頃の古代エジプトではリネンは、祭事の際に着用する祭服のために作られていましたから、神に直結した神聖なものとして崇められていました。ですから、織られた布の大半は祭服として使用され、庶民には縁のない高根の花だったのです。

その後、エジプトから周辺のチグリス・ユーフラテス川の流域一帯にその技術は広まり、丈夫さに目をつけた漁業者たちが、リネンを漁網やロープとして広く利用するようになります。

そして、長い間に漁業を営む人が多く住むスイスの湖畔などにも広まり、スイスから次第にヨーロッパ全土へ。それも洗いの効く布でしたから、主婦が工夫したのでしょう、家庭用品などに用いられるようになってゆきます。

★ 日本ではリネンといえば、材質の固い大麻(おおあさ)を原材料としたことで、直線的なものに使われることが多く、主に古来の武士の裃(かみしも)などに用 いられてきましたが、ヨーロッパでは原材料は麻の一種「亜麻(あま)」のため、ソフトで柔らかいという感触を特徴としていました。

★18 世紀頃には、多くの衣類に使われるようになると今度はその通風の良さが評判になり、ギリシャ、ローマなど夏の暑い日が多い地方に一気に広まってゆきます。 当初は上流階級を主にしたものでしたが、上質で純白のリネン(亜麻布)はその後ヨーロッパの庶民の間にも広まり、流行してゆきます。

★ 使えば使うほど気品ある白さが増し、柔らかさが倍増してゆくリネンは、ヨーロッパの良家では、テーブルリネンやベッドリネンを家宝とし、その家の家風や品 格を伝えるということで、母から娘へと託される大切な家伝の品とされるようになります。娘が嫁ぐときには、イニシャルを刺繍した白いリネンを できるだけ多く持たせるという習慣も生まれました。

★そのように多くの付加価値をつけたリネンは、ますます尊重され、貴族を中心に流行してゆきますが、そんな中、アイリッシュ・リネンIrish linenは同じリネンでも最高級の品を創ろうという試みを始めます。

そ れは古代、発祥の地エジプトからヨーロッパに伝わったリネンを、1500年代、フランダース地方に勢力を広げつつあった新教徒に追われて、旧教徒だったフ ランダースのリネン技術者が、 大量にアイルランドに移民したのをきっかけとしますが、持ち込まれたリネン技術を元にし、北アイルランドで栽培されたフラックス(リネンの草の状態をフ ラックスといいます)だけを糸に紡ぎ織ったところ、持ち込まれたリネンよりはるかに白く柔らかく、また、輝くほどの光沢のあることが判明したからでした。

そして、試行錯誤しながらもそれまでにない上質のリネンを作ることに成功し、アイリッシュ・リネンとして、世界中にその存在を知られるようになってゆくのです。

★シルクやコットンに比べ吸水・発散性に優れたリネンは、仏語で麻布を意味するランジュ(linge)から派生して、元来は子供や婦人の下着、薄手の部屋着を意味していたことで、いつしか「ランジェリ-」の語源ともなりました。

★ また、アイリッシュ・リネンは天然素材を使用しているため、お洗濯に強く洗う度ごとにその柔らかさとその白さが増す、という優れ物でしたから、リネンの中 でも最高級と賞賛され、現在でもその評価の高さは衰えることなく、英国王室の正式晩餐会はじめアメリカのホワイト・ハウスなど、 格式と権威を重んじる場ではテーブルクロスやナプキンなどにアイリッシュ・リネンが採用されています。

“英国仕立てのアイリッシュ・リネンのスーツは、淡いシャンパンゴールドで柔らかな光沢があって、その上、しなやかで涼しげで、気品すら漂う”

★ずっと以前、友人の曾おじいさんがそう言って“英国仕立てのアイリッシュ・リネンのスーツ”を自慢していたこと、懐かしく思い出しています。と言っても私は見たことはありませんが…。

でも、淡いシャンパンゴールドで柔らかな光沢に輝く英国仕立てのアイリッシュ・リネンのスーツは、想像するだけでもとてもダンディで素敵だったと思います…。

★画像、記事の著作権は全て私に帰属しております。転載・転用、ダウンロードはお断りいたします。また、シェアに関してはこの限りではなく誰もが可能ですが、その場合、一言頂きたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。

(トラベルライター、作家 市川昭子著)

Leave a Response