【雨の表現】
雨の日が続くと憂鬱な気分になるという方も多いと思います。
しかし、日本人にとって雨は、作物の生育に不可欠なものというだけではなく、粋で風情のある芸術でもあります。日本には雨の風景を描いた浮世絵がたくさんありますが、西洋絵画には雨の風景を描いたものはほとんど見られないそうです。
浮世絵の雨の独特の表現に惹かれたゴッホは歌川広重の「名所江戸百景 大はしあたけの夕立」をほぼ忠実に模写しています。また、日本語は雨の表現がとても豊かで、その数の多さに驚かされます。今日は、風情の感じられる雨の表現をいくつかご紹介します。
・篠突く雨(しのつくあめ)
「篠」は細く群れて生える竹や笹の総称「篠竹」のことで、篠竹を束ねたものが地面に突き下ろされるように降る激しい雨。
・糸雨(しう/いとさめ)
糸のように細かい雨。
・霧雨(きりさめ)、雨霧(あまぎり)、細雨(さいう)
霧のように細かい雨。
・こぼれ雨
雲のいたずらのようにぱらぱらとこぼれ落ちるように降ってすぐやんでしまう雨。
・微雨(びう)
ほんのわずかに降る雨。
・驟雨(しゅうう)、俄雨(にわかあめ)
急に降り出す雨。
・駛雨(しう)
「駛」は速いことで、にわかに降り出す雨。夕立。
・肘傘雨(ひじかさあめ)、肘雨(ひじあめ)
急に降り出した雨。笠をかぶる暇無く、肘を笠の代わりにする様子に由来。
・村雨、叢雨(むらさめ)
「群れた雨」のことで、短時間で集中して激しく降る雨。
・宿雨(しゅくう)、霖雨(りんう)
連日降り続ける雨。長雨(ながあめ)。
・地雨(じあめ)
同じような強さで長く降り続ける雨。
・天泣(てんきゅう)
空に雲が無いのに雨が降ってくること。「狐の嫁入り」、「天気雨」。
・外待雨(ほまちあめ)、私雨(わたくしあめ)、我が儘雨(わがままあめ)
限られた範囲に降る雨。
突然の雨に困ってしまうこともありますが、雨宿りしながら粋な呼び方を考えてみるのもおもしろいかもしれません。
【写真】
Van Gogh Museum
http://www.vangoghmuseum.nl/en/search/collection?q&place=Edo
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