
暗号資産国際会議「TOKEN2049」

藤原直哉さんから
要約藤原直哉が、シンガポールで開催中の暗号資産国際会議「TOKEN2049」を初めて訪れ、会場で得た印象と自身の分析を共有した。全体を通じて藤原は、暗号資産・DeFiを単なる新技術ではなく、ローマ法から英国・デラウェア州へと続いてきた国際金融・商取引の法体系、金融拠点、金融仲介の仕組みを大きく作り替える「金融リセット」の兆候として捉えた。会議内で正式な決定や参加者への具体的な依頼は報告されていないが、藤原は、分散型金融、AIエージェント、ステーブルコイン、商品型資産、米国の新法整備が相互に結び付く方向性を見たとしている。
既存の法体系からの転換という見方
藤原は、ローマ法、英国の高等法院・提督裁判所、米国デラウェア州の法・エクイティ裁判所に蓄積された判例が、従来の国際金融と多国籍企業の基盤だったと説明した。そのうえで、デラウェア州の裁判所機能をテキサスのビジネス裁判所へ移し、陪審裁判を通じて新たな判例を形成するという動きを、従来の法体系を継承しない方向への転換として評価した。これは藤原自身の解釈であり、暗号資産だけでなく、ビジネス全般の判断基準が従来の蓄積から離れる可能性を示すものだと述べた。
TOKEN2049の参加企業と拠点選択
会場には多数の企業が出展していたが、藤原はその多くを、暗号資産運営全体を構成する技術や周辺業務を提供する「部品屋」と認識した。一方、冒頭登壇者が繰り返した「インターネットをどこでプリントアウトするか」という表現を、世界規模のサービスをどの国・都市に着地させるかという拠点選択の問題として受け止めた。従来のロンドンやニューヨークへの接続を前提とせず、不動産コスト等も踏まえて都市を選ぶ発想が示され、日本の地方も候補として言及されたという。
DeFiの理念と戦争抑止をめぐる主張
藤原は、DeFiをロンドン・ニューヨークに集中しない金融、すなわち国籍・民族を問わず利用できるアプリケーションの一つとして説明した。会議主催者側は、国家にルール変更を強いるよりも、世界共通の常識と利用者の利便性に基づいてサービスを運用し、受け入れられない地域では展開しないという発想を持っているように見えたと述べた。また、主催者の発言として、資本・人・サービスの移動可能性(モビリティ)を高めることが戦争抑止につながるとの見解が紹介された。藤原はこれを、従来の集中型国際金融と対照的な理念と位置付けた。
米ドル、米軍、金および新たな規制枠組み
藤原は、現在の米ドルの裏付けを米軍の存在とみなし、米軍が海外から撤退すればその裏付けが外れ、ドル体制の転換が起こり得るとの見通しを示した。これに続く金融の枠組みとして、金を基礎とするステーブルコインや、従来の1933年法・1944年法に代わるものとして藤原が挙げた「ジニアス法」「クラリティ法」が重要になると論じた。さらに、新たな規則とテキサスでの陪審裁判による判例形成が組み合わされる可能性を指摘したが、これらは会議内容と周辺の出来事を結び付けた藤原の推測である。
仲介者の自動化とトランプ家の役割
従来の銀行・証券業務における「カウンターの内側」、すなわち専門職が担う管理・決済・運用の領域は、暗号資産とAIエージェントによって機械化され、縮小していくと藤原は述べた。TOKEN2049ではAIエージェントへの対応も多く議論されていたという。藤原は、技術提供者が多く全体設計を担う主体が少ないとの印象から、トランプ家が国際決済やステーブルコインの構想を主導する理由を、金融の利用者として全体を統合する役割にあると解釈した。エリック・トランプは、既存金融が収益性の高い投資機会を一般参加者から排除しているとの趣旨を語ったと紹介された。
資金調達・商品型資産・投資リスク
藤原は、クラウドファンディングが不特定多数からの資金調達手段として既に広がっていることを、従来の証券規制の枠組みが縮小しつつある兆候とみなした。また、暗号資産・分散型金融は、利回りや定期的な支払いを中心に据える証券より、金・石油・銅などのコモディティに近いと説明した。予測市場のPolymarketを、期間収益ではなく最終的な損益に依存する典型例として挙げた。藤原は、この仕組みでは投資元本が保全される前提は弱く、投資対象の成功・失敗が直接的に結果を左右するため、利用者にはそのリスクを理解する必要があるとの認識を示した。
チャプター
TOKEN2049初訪問と金融リセットという問題提起
藤原直哉は、シンガポールで前日から開催されている世界最大級の暗号資産国際会議「TOKEN2049」を訪問したと報告した。暗号資産の国際会議への参加は初めてであり、過去には参加を予定したものの新型コロナウイルスの影響で実現しなかったという。
藤原は、現地を見た印象として、暗号資産を含む変化が「完璧な金融リセット」につながる可能性を感じたと述べた。その主な理由として、既存の法体系を継承しない方向が見えることを挙げた。
ローマ法からデラウェア州までの商取引法とテキサスへの移行観
藤原は、財産規定を精緻に整えたローマ法が世界の法律の基礎となり、国際金融ではローマ法が英国へ伝わり、慣習法、高等法院、提督裁判所の判例が発展したとの歴史観を説明した。特に提督裁判所では陪審を用いず専門裁判官が迅速に判断する点が、ビジネスに適していたとした。
これらの蓄積は米国デラウェア州に引き継がれ、同州には法の裁判所とエクイティ裁判所があり、多くの法人がデラウェア州法を選ぶ背景になったと説明した。藤原は、デラウェア州の裁判所を縮小し、テキサス・ビジネス裁判所で陪審裁判を行いながら判例を一から形成する動きがあると述べ、これをローマ以来の体系を断つ重大な変更と評価した。ただし、制度変更の時期・主体については話者自身も不確かな表現を用いていた。
会場の技術提供企業と「どこで着地させるか」という拠点論
藤原は、会場に出展していた数百社の多くは、暗号資産・国際金融システムの一部機能を提供する技術企業や周辺業務の企業であり、全体を統合する主体は少ないという印象を述べた。
一方、会議冒頭の登壇者は「インターネットをどこでプリントアウトするか」と繰り返し述べていたという。藤原はこれを、世界規模のインターネットサービスや金融サービスをどの国・都市で事業として着地させるかという問いと解釈した。従来の国際金融の中心であるロンドンやニューヨークではなく、生活・事業に適した都市を選ぶ考え方が示され、不動産価格の高騰する既存拠点を避ける選択肢として、日本の地方も話題になったと紹介した。ビットコイン・マイニングについては、中国、カザフスタン、電力・原子力発電所の必要性にも言及があった。
DeFiを分散・移動可能な金融として捉える見方
藤原は、暗号資産や仮想通貨を、より正確にはDeFi(Decentralized Finance、分散化金融)の構成要素と位置付けた。DeFiとは、ニューヨークやロンドンに集中せず、世界中の任意の都市から利用・運営できる金融という理解を示した。
会議主催者側の認識として、スマートフォンのアプリのように世界中で便利に利用されるサービスを目指し、国家を取り込んで制度を強制するのではなく、世界共通の常識に沿って運用できる地域で展開する発想があると藤原は説明した。また、主催者が、資源や利権の固定化を避けるモビリティが戦争を止める手段になり得ると述べたと紹介し、藤原はこれを従来の集中型金融から離れる方向性の表れと受け止めた。
米国金融制度の転換とドルの裏付けをめぐる分析
藤原は、米国の証券制度を1933年法・1944年法に基づくものとして説明し、1929年の大恐慌と1931年の英国の金本位制離脱を経て、米国が国家による直接統制を強める制度へ移行したという見方を示した。ペコラ委員会や、その後の規制・判例形成にも触れた。
さらに藤原は、現在の米ドルの裏付けを米軍とみなし、米軍の海外撤退が進めばドルの裏付けが失われ、赤字国通貨としての性格が強まるとの見通しを述べた。イラクからの撤退についても、物質文明の転換を象徴する出来事として独自に解釈した。これらを踏まえ、従来の証券法体系を離れ、金を基礎にした分散型金融へ移る構想が形成されつつあるとの推測を示した。
AIによる「カウンターの内側」の代替と新法の見通し
藤原は、従来の銀行、証券、役所、薬局などでは、利用者が入れない「カウンターの内側」を専門職が運営してきたと説明した。暗号資産の世界ではこの内側の機能が機械に置き換わり、AIエージェントが資金決済、管理、運用の一部を担うようになると考えられると述べた。会場でもAIエージェントへの対応が多く取り上げられていたという。
藤原は、既存の銀行・証券制度が実質的に機能不全や不正を抱えているとの見方を示し、これを前提に、従来法に代わる制度として「ジニアス法」と「クラリティ法」が整備されると予測した。新法の下で規則を作り、テキサスの陪審裁判で判例を蓄積する体系が現れる可能性があると述べた。クラリティ法については、審議上の動きはあるものの最終的には通過するとの予想にとどめた。
トランプ家、国際決済、ステーブルコインの統合役
藤原は、会場には技術者や部品提供企業が多く、金融全体を組み立てる主体が少ないという印象から、トランプ家が関与する理由を考察した。トランプ家は大型投資の利用者であり、利用者にとって使いやすい金融を設計する立場を担い得ると述べた。
エリック・トランプについては、既存の銀行が収益性の高い案件を一般参加者に開放しないことへの問題意識を語っていたと紹介した。藤原は、トランプ家が暗号資産とステーブルコインを活用した国際決済システムを構築しているとの認識を示し、VISAが暗号資産の即時決済機能を持つこと、送金時の一時的な資金保管を米国の州認可銀行・地方銀行に担わせる構成が考えられることに触れた。技術面に加え、法律・税制面の課題が大きいとも述べた。
クラウドファンディング、コモディティ化、投資家負担の増大
藤原は、エリック・トランプの発言を踏まえ、一般参加者も収益機会に参加できる資金調達の方向としてクラウドファンディングを挙げた。日本でも不特定多数からの調達が通常に行われていることを、従来の証券法体系が縮小し始めた兆候と解釈した。
藤原は、分散型金融・暗号資産は、利回りを基礎に現在価値と将来価値を結び付ける証券よりも、金、石油、銅など、資産自体から利息を生まないコモディティに近いと説明した。Polymarketのような予測市場では、途中価格は形成されるものの、最終的には当たり外れによるキャピタルゲイン・ロスが中心になるとした。定期的な支払いを伴わないため、従来型の開示・安全性規制を全面的に適用しないで新規事業を始めやすい一方、投資先が成功しなければ資金が戻らないリスクを投資家が受け入れる構造になるとの見解を示した。
金連動ステーブルコインと暗号資産デリバティブの将来像
藤原は、米軍によるドルの裏付けが外れた後には、金に連動するステーブルコインが登場するとの見方を示した。エリック・トランプ自身は会場で金という語を使わなかったものの、藤原はトランプ側の動きから金を基礎に置く構想を読み取ったとしている。
また、暗号資産による証券化に相当する仕組みが確立すれば、資金調達・運用の力は大きくなるとした。一方、予測市場は賭博との区別が曖昧になり得ると指摘し、Polymarket側はこれをCFTC管轄の先物取引と位置付けている一方、ニューヨーク州は賭博とみなしているとの説明があった。藤原は、暗号資産デリバティブが拡大するほど、個人は自らの投資判断と投資対象の成否により直接責任を負う時代になるとの総括を示した。
行動項目
明示的なアクションアイテムは確認されなかった。


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