いかに契約取引に取り組むか ー2ー
嬬恋の夏秋キャベツとの契約取引
契約取引の内容に入る前に
名古屋市中央卸売市場・北部市場の概要をご説明しておきます。
同市場の卸売会社は2社(名果と丸市青果)ありましたが、
2016年10月1日に両社は合併してセントライ青果株式会社となり、新たなスタートをしました。
いま傾向としては景気のリセッションとともに全国的に卸売会社が合併して単一の卸売会社になる傾向です。
しかし、卸売会社が合併すると集荷・販売の競争をしなくなるというデメリットもあります。
1+1=2になればいいのですが、なかなかそうはいきません。1.5くらいで推移しているようです。
これでは合併のメリットを享受できません。
集荷・販売の競争をしなくなった分、仲卸や小売商はやる気がなくなります。
そして競合他市場との競争に敗れていきます。
こうした市場流通の先を予見したかのように、中央青果事業協同組合では11年前に嬬恋キャベツの契約取引に取り組みました。
同市場には小売商組合は数組合あるのですが、理事長に人望があるために組合員の結束は強く先見の明を備えていました。
勝率も8勝3敗ですから成果があったとみるべきでしょう。
さて契約取引の内容を簡単に説明するとこうです。
時期は毎年7月9日から10月15日。(2019年)
8玉入りケースで940円。
しかし産地も卸も仲卸も小売もこの910円という契約をしたがりません。
成り行き任せの意識が強いです。
産地は1円でも高く売りたいし、買い手の仲卸や小売商は1円でも安く買いたいのですから・・・。
そのジャッジをするのが卸売会社のせり人なのですが、残念ながらサラリーマンで力量がないのが正直なところです。
しかし、この910円という価格設定をよく分析すると、安値で600円を切るとなれば、産地ではは需給調整(産地廃棄など)をします。
すると、確かに小売商組合は300円ほどの損になります。でもそこには限りがあり需給調整がリスクヘッジとなるのです。
これまで特殊な高原キャベツは高騰するときが多かったのです。
ましてや競合産地が多くなく嬬恋の独壇場です。
西日本を制覇できるだけの物量(180万ケース)があるのです。
しかも軽く2000円ほどになることもあるのです。
1000円ほどの儲け。
残りは数量の提示だけです。
こうしてシーズンを通して3万ケースほどが取引されているのです。
安値での傷はせいぜい300円ほど。儲けは軽く1000円。
こうした計算ができるかどうかが勝負どころです。
さらに契約取引をすると、競合他社にない攻めの営業ができるというわけです。
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