自民党の大規模化・スマート化・輸出拡大の3本柱は絵空事
今の日本社会が落ち込んでいる陥穽とはたとえて言えば以下のような事態だろう。
政治権力を握るグループが森林火災にガソリンを投入している。
それを止めさせなければならないのに、人びとは政治を変えようとすることは諦めており、一切、考えず、個人で環境に正しい生活することが解決策だと信じており、自分の生活にばかり気を配っており、ガソリン投入を止めさせること、政治には見向きもしない。
森林は焼かれ続け、人びとは焼け出される。
自民党は米騒動の機会を利用して、大きな舵を切った。大規模化・スマート化・輸出拡大だ。どれもガソリンを火事に投入するような(ショックドクトリン)政策だ。でも人びとは関心を示さない。それには素通りして、そちらには向き合おうとしない。
産直をやって正しいことをやっていれば事態は改善すると信じている。でも果たしてそうか?
産直に関わる市民の数はわずか。産直だけで救える農家の数は限られており、農村消滅を防ぐだけの力にはとてもなりそうにない。
もし、小農が離農し続けていけば、農村は維持不能となり、道も消え、水路も消える。農村が消え、地方が消えていく。
体にたとえれば体の部分が壊死していく。
今、日本列島という体のあちこちが壊死しかけている。これであれば大規模化した農業を広げても止まってしまう。
農村があってこそ都市が生きる。農村がなくなれば都市は滅びる。このままでは日本は滅びるだろう。
それを防ぐためには、小農を支援し、農村を復興させ、守らなければならない。そのために必要なのは「政治」なのだ。しかも大多数が潜在的にであれ味方である状況だ。
でも人びとはその「政治」を再構築しようとせず、「政治」を素通りしてしまう。個人でできること以外には目を塞いでしまう。
かくて少数与党の自民党の大規模化・スマート化・輸出拡大の政策がそのまま進んでしまおうとしている。大規模化は農村を崩壊させ、スマート化は農薬・遺伝子操作作物の導入を必須にさせ、輸出拡大はほんのわずかな輸出商社を儲けさせるだけで、結局輸入を逆に増加させて終わるだろう。
食料自給率はさらに低下し、森はさらに大きな火につつまれ、日本列島は崩壊する。再建はほとんど不可能になる。
しかし、現在の政策を転換させることは実現可能になっていることを多くの人が忘れている。衆議院は与野党逆転したし、参議院選挙はこれからだ。
小農は全農家の8割を超え、その大多数のための政策なのであり、その実現を訴えるだけなのだから与野党なく成立して当たり前の「政治」なのだ。しかも、その実現に最小限必要なのは5000億円+αに過ぎず、実現できない金額でもまったくない。
今はこの政治変革の最大のチャンスがやってきていると言った方がいい。
これまでアベノマスクに、核の再処理に、バイオテクノロジーに、不要な軍備にどれだけ無駄な予算がかけられてきたか。
それらの何分の一の予算を回せば、今後の日本にとって大きな変化を作ることができる話だ。でも、それを最初から諦めている人がどんなに多いことか。
「政治」についての感性は系統的に義務教育の中で奪われてきた。その成果なのかもしれない。
「政治」の再構築を諦めた人びとは、全体は変えられないから自分たちだけを守るということになっていくのかもしれない。
自分たちだけよければいいという発想は、差別排外主義に向かい、日本はさらにズタズタになっていく。あるいは自分たちの組合だけは、というセクショナリズムに落ち込んでいく。
そのシナリオを防ぐ唯一の方法は「政治」の再構築しかない。
政治を変えることは避けてはならない。参議院選挙はその「政治」の再構築の機会のはずだ。「政治」への意志が残っていることを祈らざるをえない。
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