固定種は、置かれた環境に適応していきます

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水の問題

水遣り

石井吉彦|種と土と野菜の学校「石井ピュアファーム」代表


水の問題

種を蒔いたら、その畑には水をやらなければいけない。そう思うのが普通です。暑い夏の日照り続きならなおさら、畑に水を撒きたくなります。でも、石井ピュアファームでは、どんな時期でも水遣りはしません。

理由は、種にあります。

固定種は、置かれた環境に適応していきます。水を与え続けた株から種を採ると、その種は「水をもらって当たり前」の種になります。次の年、水を切れば枯れてしまうこともある。逆に、水遣りをせずに生き残った株から種を採れば、地下深くまで根を伸ばして水を自分で探せる株だけが残ります。その種を蒔くと、次の世代も最初から水がなくても逞しく育ちます。

そうして育った野菜は、水っぽくなく、その作物本来の力を持った味の濃い野菜になります。水を与えれば、その時は助かります。でも、水がなければ育たない種を作ってしまいます。水を与えず、生き残ったものだけが種を残す。強い種ほど、水を求めて自分で根を張り、次の世代へつないでいきます。

もう一つ、気になることがあります。

畑に撒く水は、農業用水か水道水がほとんどです。農業用水には、上流の畑で使われた農薬が混ざっている可能性があります。水道水には、消毒のための塩素が入っています。塩素は菌を殺すためのものです。土の中の菌を大事にする栽培で、わざわざ菌を弱らせるものを畑に入れるのは、どうしても気になります。井戸水や地下水でも、同じように「外から入れるもの」です。

だから、水遣りはしません。季節を問わず、種を蒔いたあとも、雨が降らなくても、水は与えません。水を与えないことで、種がその土地の水の中で回るようになり、根が深く入り、味が濃くなる。入れる水に余計なものが含まれる可能性も、避けることができます。

何も入れない栽培は、水も同じです。残った株から種を採る。それが、次の年の強さになります。

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