ラウンドアップの販売開始は50年前のこと

ラウンドアップ
印鑰 智哉さんから
·
日本では農薬ラウンドアップ(主成分グリホサート)の大セールが続く一方、世界は脱ラウンドアップへ。窮地に陥ったバイエルはようやく新農薬、イカフォリン(icafolin)を開発して、ブラジル、米国、カナダに続き、EUでも使用申請をした(日本には未申請)。
農薬の開発って、白衣着た研究者が顕微鏡や試験管動かしながら研究しているのだろうと思うけれども、そもそもモンサントのラウンドアップはそんなことで開発されたのではなかった。ラウンドアップの主成分グリホサートは別会社が配管洗浄剤として開発したもの。
モンサントの研究者はこのグリホサートの廃液が流されていたところで、一面の草が枯れていたことを見つけて、これは農薬に使えると思って、採用した。
だけど、今や、米国では耐性雑草がはびこるし、訴訟まみれになって、モンサントを買収したバイエルは困り果てた。買収前のモンサントはずいぶん前にラウンドアップに代わる農薬を技術パートナーの住友化学に依頼して、住友化学はそれを作ったのだけど、それが売れているという話は一向に出てこない。
うまくいかなかったのだろう。
だから仕方なく、古い農薬を持ち出すしかなかった。
ラウンドアップだけではもう雑草は枯れないからだ。
モンサントは1967年に登録されたジカンバを引っ張り出した。
ダウ・ケミカルは2,4-Dを引っ張り出した。
2,4-Dは1947年に登録された古い農薬で、これはベトナム戦争で悲劇を生んだ枯れ葉剤作戦で使われた枯れ葉剤の主成分である。
もう一つの主成分2,4,5-Tはダイオキシン発生源の主犯として利用が禁止されたが、2,4-Dは生き残った。
しかし、その毒性には強い懸念がある。ジカンバの方は流出しやすくて、その使用によって使用者以外の畑が被害を受け、健康被害もあり、集団訴訟が起きている。
ラウンドアップの販売が始まったのは1974年頃だと思うので、もう50年を過ぎている。
耐性雑草問題や訴訟問題があっても、こんな長い間、新しい農薬は作れていない。新しい化学物質で農薬を作るということがいかに困難であるかがわかる。
そこで、今回出てきたイカフォリンは安全なのか、ということなのだけど、バイエル自身どうしてイカフォリンが草を枯らすのか、確認できていないようだ。なんとグリホサートの時と同じ。
雑草の枯れるメカニズムも十分わかっていないのだから、環境や健康にどんな被害が及ぶとかはまったくわかっていない。
それなのに、バイエルはブラジル、米国、カナダですでに使用申請していて、イカフォリンかけても枯れない遺伝子組み換え作物や「ゲノム編集」作物も開発している。
使用開始はブラジルで2028年が予定されているという。ということはその時にはイカフォリンをしっかり吸収した遺伝子操作作物がいずれ日本にもやってくるということだ(農薬登録もその前にされるだろう)。
その短い間にその危険性を十分知ることは難しいだろう。
バイエル以外に入手できるものはなく、バイエルは安全だ、以外は言わないだろうから。
この農薬への警戒も必要になりそうだ。
これが出てくればラウンドアップはもう歴史的使命を終えることになる。それだけ世界から嫌われている農薬なのだけど、日本では今なおラウンドアップ絶賛セール中。
せめて日本でもまず地方自治体や個人の使用は禁止に、あるいは個人向け販売の停止は実現しないと。
Bayer’s glyphosate successor – icafolin – coming to the EU?
Bayer seeks approval for new herbicide in key global markets



コメント